11月中旬からアゼルバイジャンのバクーでCOP29が開催されましたが、首脳級会合では日本をはじめ、フランス・ドイツ・中国・インドの首脳が欠席する異例の展開となりました。
冒頭グテーレス事務総長が、『洪水が地域社会を襲い、干ばつが作物を奪い、子供たちは空腹のまま就寝する。 こうした災害は人類が引き起こした気候変動によって更に深刻化している』と発言しました。
その上で発展途上国への資金拠出大幅増を各国の首脳へ訴えたそうです。(国際報道2024)
そもそも近年のCOPは去年がUAEのドバイ、今年はアゼルバイジャンと、何の目的でわざわざ産油国で開催しているのか良く判りません。
- 11月12日放送のBBCによると、今回も開催直前に化石燃料の取引をめぐる会合が行われたとの報道も有る(ドバイの時も類似の報道があった)
洪水についてはCOP開催中にもスペイン南部とシチリア島で大洪水が発生、南部では川が決壊し、アンダルシア州を中心に1m以上は水没したようだ。
10月に発生したスペイン東部の洪水では、街中のビルで挟まれた道に洪水で流され着いた自動車墓場のような画像が印象的です。
近年世界的に発生している水害で、住宅の家財や自動車が洪水で破壊される画像を見るたびに、同じ数量を今後生産するにはいったいどれだけの温室効果ガスが排出されるのだろうと私は思います。
今年のCOP29で大きな分断が発生するかもと危惧しています
今回のCOP29は日本では衆院選挙、アメリカでは大統領選挙が重なり過去になく『事前の話題が少なかった』認識です。
しかも今年の夏は過去最高に暑かったと確定され、11月に入っても台風が連続で発生し、温暖化が一気に進行している裏付けを突きつけられている中でもマスコミの扱いはとても少なかった。
- 特にフィリピンは10月末から3週間のうちに5つの台風から被害を受け、それから1週間後に6つ目の台風被害となる24号が再び襲いました。 ニュースでは命かながら避難した女性が、全て流されスマホを持ち出す時間も無かったとインタビューに回答していました
扱いが少なかった大きな要因として、今回のCOP29は途上国への地球温暖化対策のための資金調達が最大の焦点で、「ファイナンス(資金)COP」とも呼ばれているらしく、その額があまりにも非現実的。
その要望額を最初に聞いたのはBBCだったかNHKの国際報道で、聞き間違いか年間の額では無かったかも知れませんが、途上国が先進国に要求しているのは数兆ドルと聞いてビックリしました。
少し額が下がっても良いように最初に高い目標を掲げているのかも知れませんが、現状年間1000億ドルに対し、最終日でも1兆3千億ドルを要求していたそうで、先進国は難色を示しました。
温暖化対策に前向きなEUですら、シャルル・ミシェル大統領は『EUは310億ドルの資金調達により責任ある行動を取っている。 より多くの拠出国の確保、ドナー基盤の拡大が必要』と中国など新興国への負担増を促したようです。 このEUの拠出金を見ても、数兆ドルとの開きは歴然だ。
- 11月24日の各種報道によると、延長されたCOP29が閉幕。先進国主導の調達目標を2035年までに年3000億ドルとすることで合意。そして成果文書では、途上国向け資金として35年までに官民合わせて少なくとも年1兆3千億ドルに拡大することを目指すとやはり玉虫色の決着となった。
環境対策の大半は失敗か
10月初め、GIGAZINEから『1998年以来の気候政策の96%が失敗に終わっていたことが明らかに、1500件中63件のみ成功』との内容が公開されました。
科学誌のScienceにも掲載された調査結果らしく、原本は”環境対策の大半が失敗:GIGAZINE”のキーワードで検索して下さい。
GIGAZINEは大手メディアが見落としがちな海外の話題を取り上げる事があり、見た目は独特ですが、比較的Edgeでもピックアップされています。
まあ差当りの無いところで成功例を挙げると、ノルウェーで導入されたEV化への補助金です。
水力発電の比率が高いノルウェーでは、EV化がそのまま脱炭素に繋がる事はうなづけます。
(冬に効率が下がり、ノルウェーでも問題があるとの反論動画も出回っていますけどね)
増え続ける温室効果ガス 増加のペースがさらに上昇(WNN)
先日温暖化ガスの排出量が、去年も増加したと各社から報道されました。
11月21日のウェザーニュース投稿を引用すると、『2023年も世界の温室効果ガスの排出量は、CO2換算で57.1ギガトンになったとされます。本来であれば排出量を徐々に抑えていくべきところが、2022年と比べても排出量が1.3%の増加となってしまいました。』
環境問題に対して多額の投資を行っている筈だが、逆に排出量は増えている現実。
これは気候政策の大半は失敗している指摘の裏付けとも読み取れますよね・・・。
温暖化で世界的に天気予報(気象予測)が外れている
前半でスペインの洪水を取り上げましたが、その現地を視察した国王が民衆から泥をぶつけられたニュース映像を見ましたか?
スペインの国王は国民から人気があり、王妃のレティシアも絶大な人気があるとテレビで見た事が有ります。
<では何故?>
国民は何を怒っていたかというと、洪水の警告が遅かったので被害が拡大した、又、災害の対応が遅すぎたからであると報道されています。
(地元メディアは当局が住民に災害への警戒を呼びかけた時にはすでに被害が広がっていたと報道:NHK他)
これは先月取り上げたアメリカのハリケーン被害や去年のアカプルコも同様で、急激に気象が悪化したので全ての対応が遅くなった結果だと思います。
特に夜の就寝中に気象条件が急変すると、多大な被害が発生する認識です。
この数年観測史上初とか100年に一度とかの言葉を頻繁に見聞きしますが、気温が1℃上昇すると空気が含むことのできる飽和水蒸気量は約7%増加すると分析されており、温暖化で過去のデーターをベースにした気象の予測が年々難しくなっている事も事実だと思います。
更に近年は海水温も2℃以上、場所によっては5℃も上昇していれば、過去の気象データーは適合出来なくて当然だと思います。
私はWindリーダーを開発してからtenki.jpの1時間天気で翌日、翌々日の予報も頻繁に確認していましたが、4,5年前は本当に良く当たってました。
晴れや曇りの天気もそうですが、翌々日の風向きや風速までほぼ正解で、コンピューターの精度が上がったのだろうと解釈していました。
ただこの2,3年は当日の予報ですら頻繁に変わる状況になり、私の知る限り世界各地でも天気予報が外れている認識です。(PBSテラが、類似した内容を纏めた動画も有ります)
つまり急激な洪水やハリケーンの急速な発達も、過去に温暖化後のデーターが無いので予報する事が難しく、多くの被害が出てしまう悪循環が発生しています。
今年は秋が本当に無くなってしまった・・・(のか?)
関西を前提に伝えると、これまで数日だけ『今日は少し冷えたな~』と感じましたが、10月はほぼ残暑というより夏の暑さで11月に入っても殆ど暖房は使っていません。
しかしこれは偶々ジェット気流の山と谷の暖かい側に含まれただけで、11月中旬を過ぎるとヨーロッパや北米で突然の大雪との動画が出回りました。
直近では日本に近い韓国でも11月27日、11月としては117年ぶりの大雪で、ソウル市内も20cmの積雪があったそう。
我が家では北側の窓からちょっとした丘(標高180m)が良く見えるのですが、11月末になっても3割程しか紅葉が進んでいません。
普段なら10月末には完全に紅葉しているのですが、ジェット気流の乱れが長引くと、日本でも緑が目立つ山々に、急にドカ雪が積る事も今後は起こりそう。
11月に入って秋の野菜も高騰していると何度もニュースで流れていましたが、残暑が長引き、突然急に寒くなれば、野菜を含む植物はもっと正常な成長が出来なくなるでしょう。
個人的には、去年や今年の酷暑は、何もしなければ2030年代はこれが日常になるよ、と地球から警告されていると思っています。
海水温の異常な高温域は、今年東北付近までようやく上がったようなので、来年か再来年には一旦平年に近い気温に戻るのでは無いかと考えています。(根拠は下図参照)
しかし、次に数年間平年の気温に落ち着く時こそが、温暖化の加速を止める最後のチャンスかも知れません。
温暖化ガスを削減する行動を広め、少しは若い世代に可能性を残す必要が有ると思います。
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