3月16日に発生した福島県沖の地震はマグネチュード7.4で、相当なエネルギーでした。
震源の深さは60kmでしたが陸地に近かった事もあり、広範囲に渡って思わぬ被害が出ています。
ニュース番組を見る限り2011年に発生した東日本大震災よりも揺れが大きかったと話す住人も多く、前回住宅の被害は無かったが、今回の地震で壁が壊れたといった事例も多いようです。
このホームページでは大規模停電を意味するブラックアウトを何度か記載していますが、3月22日のニュースで知れ渡った通り先進国である日本でも想定外の災害があればブラックアウトは発生します。
製品の経緯で記載しているようにWindリーダーを特許・製品化した発端は災害による停電であり、特に夏場の停電には効果を発揮するだろうと真剣に考えています。
停電を想定している災害とは大型台風と巨大地震です。
ご存じの通り日本の太平洋側は、ほぼ全域でマグネチュード8クラスの地震発生確率が高まっています。
なので今回は電力需給とブラックアウトについて少し噛み砕いて説明します。
3月22日は東京でも雪がちらつくほど気温が低く、前日の夜から出来る限りの省エネが呼びかけられていました。
そして当日の午後2時には電力使用率107%になり、このままでは午後8時に揚水発電の水が枯渇して大規模停電が発生すると経産省がアナウンスしました。
該当地区にお住いの方の節電協力で結果的には停電せずに済みましたが、災害に伴う停電はどこの地域でも起こり得るのです。
・ブラックアウトを判り易く解説
日本では過去に一度、北海道でブラックアウトが発生しています。
それは2018年9月6日AM3時頃、最大震度7の北海道胆振東部地震が発端で大口の苫東厚真火力発電所2基が停止した事から連鎖が始まったと後に解析されています。
火力発電2基の停止から17分の間に距離が遠い水力発電所や風力発電所までも連鎖停止し、最終的には北海道全域でブラックアウトしました。
何故震源地から遠い発電所も停止したかと言うと発電で最も重要な電圧と周波数の問題があり、突然大きな発電所が止まると無傷の発電所も停止せざるを得ない状況になります。
この北海道のブラックアウトの技術的な報告書は既にネットでも公開されており、興味の有る方は検索して下さい。
では少し噛み砕いて説明すると、電気使用者と電力供給側の関係は、神輿に子供(使用者)が20人乗っている状態を10人の大人(供給側)が担いでいるのと近い関係になります。
※電気使用者は大まかに市や村等の地域と考えて下さい
前提として『子供20人の重さ < 大人10人の担ぐ力』の必要が有ります。
更に大人の数人は担ぐ余力が有り、北海道の例でいうと大口の苫東厚真火力発電所になります。
この大口の火力発電所がいるおかげで本来は地震で驚いて起きた子供が一人二人神輿に追加で乗って来ても余力が有るのでビクともしませんが、北海道ではその余力を持っている大口の苫東厚真火力発電所2基が地震で停止し、大人8人で20人から更に数人増えた子供を支えようとしました。
そうするとイメージ通りに8人の大人の一番体力が無い人から順次ダウンし、最後大人5人で20数人を支えようとして一気にダウンしたのです。
この大人が全員ダウンした状態がブラックアウトで、ここから再び神輿を持ち上げるのが凄く大変なのです。
実際の神輿を持ち上げる時と同じですが、まず大半の子供に降りてもらい、ほぼ神輿だけの重さにして数人の大人で一斉に持ち上げないと電気の供給を再開する事すら出来ません。
しかも交流の電気は発電の周波数の波形をほぼ一致させてからでないと複数の発電所を繋ぐことが出来ない特性が有り、全てダウンしたら直ぐには復旧出来ません。
事実北海道の地震は深夜に発生したので計画的に止めていた発電所もかなり有ったのですが、地震による故障や断線が無いかを確認した事も有ったのでしょう、翌日になっても殆ど停電は復旧していませんでした。
もう一つ厄介な点は、電源をONした瞬間に多くの電流が流れる家電製品が多数存在する事です。
例えばテレビの電源をONにしても直ぐに画面がつかないですよね。
テレビの機種によっては直ぐにつくようPRしていても、あれはカラクリがあり元のコンセントをしばらく抜いていれば同様に画面がつくまで時間が必要です。
時間が掛かる理由は中の電気部品をまずは充電する必要があって、この充電の時に多くの電流が流れるのです。
冷蔵庫も同じです、蛍光灯も壁のスイッチがONのままだと結構停電復旧時に突入電流が流れます。(突入電流とは初回の充電時に瞬間流れる電流)
ノートパソコンやスマホの電源とかも同じでコンセントに差した瞬間パチッと火花が出た経験は誰でもあると思います。
この充電に必要な突入電流が近くに雷が落ちた時の瞬間停電と違う点であり、10分以上停電した後は家電機器の充電がほぼゼロなので、通電を再開する瞬時は想像以上に多くの電気が必要となります。
よって神輿に例えましたが持ち上げる瞬間は大人に過大な負担が掛かり、場合によっては力負けして再び落としてしまう事が起こり得て、それがブラックアウトの一つの特長になります。
実際北海道の停電は復旧までに2週間、3週間掛り、札幌の中心部でも数日は停電していましたよね。
最終的に2週間、3週間掛かったのは地震による送電線の破損が関係したとは思いますが、一度ブラックアウトすると一斉に停電を復旧する事は不可能に近いです。
・3月16日の福島県沖地震ではどうだったのか
北海道全域でのブラックアウトを経験した日本。
その経験から東京電力ではブラックアウトしないように対策していたそうです。
なので当日震源地から離れた神奈川や一部は静岡でも部分停電があり、これは大規模停電を防ぐ目的で先に地域停電をさせたのが要因のようで、その結果比較的短時間で停電が復旧出来たのが真相のようです。
勿論基本的には発電設備それぞれが地震計や周波数計を持っており、各地で破損しないようアラーム検知で停止し、その発電所に近いエリアが停電したケースも有った筈です。
電気の流れは光と同じ光速で進むのでどの順番で停電したのかはしばらくしてからより詳細な情報が公開されると思いますが、もし東電が対策していなければ、もしあと数か所の発電所も被害を受けていたら、もっと大変な停電だった可能性が有ります。
それと震源地から遠いのに3時間ほど停電が続いた地域は先程説明した家電の突入電流の影響で、最後は人が手作業で細かく一部地域を一旦切断し、順次細かく通電していったのかと想像します。
いずれにしても東京電力がブラックアウト対策をしていなければもっと長く停電していたでしょう。
発生から1週間後に岸田首相がぶら下がり会見に応じ、合計6基の発電機器(石炭供給部含む)に損傷があり、完全復旧には数週間から数か月必要との報告を受けていると説明していました。
我々の若い頃の情報では既に石油が枯渇していてもおかしくない年代に入っています。
その後北海油田など地球の複数個所で海底油田が発見されて未だ石油は枯渇していませんが、孫以降の世代を考えると石油はあらゆる製品に必要なので、今回を機に日本全国で省エネ化、再エネ化を進めましょう。
(石油を使った発電所の割合は少ないですが、省エネにはもっと意味があります)
・思わぬ形で脚光を浴びた揚水発電所
電力需給ひっ迫警報中の3月22日、午後から電力供給能力の100%を超えてテレビで頻繁に節電を呼び掛けていました、東電管内の人ならスマホも鳴りっぱなしだったと思います。
午後2時の107%がピークでしたがこの時に活躍したのが揚水発電所です。
私は電気の国家試験を受けているのでこの揚水発電所には馴染みがあるのですが、一般の方はそのような発電所が有るとは知らなかったのではないでしょうか。
恐らく多くの人は、そんな便利な発電所があれば沢山作れば良いのにと思ったと推測しますが新規の揚水発電所は余り建設されていません。
揚水発電は国家資格の問題に頻繁に出るのですが、まず水を汲み上げる時もポンプの効率が関係しますしその後水力発電に利用する時にも発電機の効率が絡むので、現在では効率の悪い発電所と位置付けられています。
原子力発電が沢山稼働している時は夜中になると余剰電力が自然と生まれ、効率が悪くても揚水発電は効果的でしたが殆ど原子力発電を停止している今、火力発電等の電力を使って大量の水を汲み上げるのは余り賢い運用ではありません。
後日の記事で東電管内には9ヶ所の揚水発電所がまだ存在するようですが、これは原子力発電全盛期の名残りでしょう、これからはヨーロッパで施工が進む重力発電に切り替わって行くと思います。
重力発電とは水力発電のような水というある面扱い難い液体では無く、コンクリートや鉄の塊をモーターで持ち上げて、発電が必要な時にそれをゆっくり落下させて重力エネルギーで発電する方式です。
利点は太陽光発電とか風力発電は時間単位で発電量が変化するので、揚水発電より重力発電の方が瞬時の変化に対応出来るからです。
日本には世界的なモーターメーカーが多数存在し、電車などの回生エネルギー回収技術も優れているので是非この重力発電にも注力して欲しい。
とにかく今回は揚水発電所が危機を救って本当に良かったですね。
・これから数年は災害に伴う長期停電が予測されています
今回は3月16日に発生した福島県沖の地震を起点に記載していますが、大きな地震が予測されているのは東北だけではありません。
東海・南海地震もそうですし、去年はあまり発生しなかった集中豪雨や大型台風も今年纏めて発生するかも知れません。
去年の夏場はジェット気流のうねりが日本に優位な位置まで上がっただけであり、ラニーニャ現象が終わったとされる今年は大雨被害が多かった気候に戻る可能性が有ります。
他にも黒潮の蛇行と日本海の海水温上昇が複雑に関係して夏の雨量が変化するようなので、過去最大級とか想定外と冠の付く災害が発生するかも知れません。
製品の経緯に記載していますが、Windリーダーのきっかけは温暖化対策の一環であり夏場の停電の対策でもあります。
換気による感染対策もそうですが備えあれば憂いなし、関東や東北の方も東日本大震災後の計画停電を思い出して頂き、温暖化対策という付加価値のある備えを実践しましょう。
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