温暖化が加速、IPCC報告書で思う事

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が8月9日、温暖化が加速している現状を報告しました。

今回の内容はかなり重要だと思っているのですが、日本ではそれ程大きく報道されていません。(翌日にかけ、テレビで数件コーナー的に扱われましたが不十分です)

以前から環境問題に関する報道は海外発信が早く、また情報量も多いですが今回も同じでした。

よって最も的確に纏められていたBBCから、まずは一部を引用させて頂きます。

BBC:IPCC報告書の要旨。 現状について

  • 地球の2011~2020年の地表温度は、1850~1900年に比べて摂氏1.09度、高かった 
  • 過去5年間の気温は1850年以降、最も高かった
  • 近年の海面水位の上昇率は1901~1971年に比べて3倍近く増えた
  • 1990年代以降に世界各地で起きた氷河の後退および北極海の海氷減少は、90%の確率で人間の影響が原因
  • 熱波など暑さの異常気象が1950年代から頻度と激しさを増しているのは「ほぼ確実」。一方で寒波など寒さの異常気象は頻度も厳しさも減っている

次にIPCC報告書の将来への影響について

  • 温室効果ガス排出量がどう変化するかによる複数のシナリオを検討した結果、どのシナリオでも、地球の気温は2040年までに、1850~1900年水準から1.5度上昇する
  • 全てのシナリオで北極海は2050年までに少なくとも1回は、ほとんどまったく海氷がない状態になる
  • 1850~1900年水準からの気温上昇を1.5度に抑えたとしても、「過去の記録上、前例のない」猛威をふるう異常気象現象が頻度を増して発生する
  • 2100年までに、これまで100年に1回起きる程度だった極端な海面水位の変化が、検潮器が設置されている位置の半数以上で、少なくとも1年に1度は起きるようになる
  • 多くの地域で森林火災が増える


BBC原文(10日修正版) https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58154907

※上記BBCのサイトでは、グリーンランドの氷河の画像もあり、是非見るべきだと強く思います。

 最も氷床がとけた地点の情報と信じたいですが、2004年から100mとけたとリポートしています。


又、日本ではBBCより早く速報した共同通信の報道文には、要約して従来分析よりも10年ほど温暖化が早まった形。最新データに基づき予測精度を改善した。と纏めています。


若い頃、宇宙に興味があって少ない小遣いから科学雑誌を買っていた私からすれば、10年ほど早まったどころか20年、下手すると30年は温暖化が進んでいる認識です。

合わせて40年前は環境破壊と言う表現が主だったと思いますが、当時の科学者の予測は正しかった。そして我々の世代は有効な手立てが打てなかったと思います。


  • フロン廃止は本当に正しかったのか

先程40年前の話題を記載しましたが、それから数年後、オゾン層が破壊されていると言う論文が世界的な問題となり、当時大量に使用されていたフロンが廃止される方向となりました。

フロンは当時工場の洗浄工程や、安定した安価なガスとしてスプレー類にも大量に使用されており、これらを直ぐに代替えした事は問題無かったと思います。

しかしクーラー(エアコン)や冷蔵庫に代表される冷却触媒のフロン置き換えはいまだに疑問です。

科学的にオゾン層破壊の可能性が有るのであれば全廃する事でも良いのですが、当時からそんな化学合成された気体がオゾン層まで届いているのかに疑念を持っています。

(疑念は後で補足します)

因みにディスカバリーの番組を見ていると、惑星の特集で原子番号1の水素と2番のヘリウムは地球の重力では留まらず、大気に上昇後、最後は宇宙に放出されるそうです。

ヘリウムとは声が変になったり空中に浮く風船に使われていた、あのヘリウムガスです。

これを聞くとオゾンとは酸素が3個くっついた分子なので、引力で成層圏付近に安定していても、確かに順番ではその位の重さかと納得が出来ると思います。

さて、先程の疑念を補足させて頂きます。

通常の人は知らない筈ですが、私が社会人になってから数年は、まだ当たり前にフロン洗浄機が金属加工系で使われていました。

加工後の不要な油類を取るのに有効だったからです。

当時勤めていた会社にもフロン洗浄機が有り、下記はその時知り得た経験です。

電気系の生産技術者として働いていた私は、目的を達成する為専門分野は深く、そして社内設備は広く薄くで良いので知識を持つ必要が有り、フロン洗浄機も少しは携わっていました。

私の記憶ではフロンを気化するため下のタンクにヒーターが有り、装置の上部にその気化したフロンガスを回収する冷却のパイプが有ったのです。

その冷却パイプと言っても氷を作る程度では無く、確か5度とか10度で気化したフロンガスは液化するか固形になり、パイプ周囲に霜状のフロンが付着していた事を覚えています。

少し5度だったか10度だったかの記憶は曖昧ですが、説明したいのは成層圏の非常に冷えた環境に、オゾンを破壊するほどガスとして本当に上昇するのかどうかと言う点です。

フロンガスがそのまま纏まって大気を上昇するとは思いませんが、分子レベルの重さと露点温度の高さから、本当にオゾン層に影響しているのかを疑念に思います。


  • もしフロンガスがオゾン層破壊に影響していなければ・・・

フロンガスがオゾン層破壊と関係無ければ、人類は大きな選択ミスをした事になる。

フロンが廃止され、車のエアコンも順次代替フロンに置き換わった時期が有ります。

この時期に遭遇した人は、代替フロンにしてからクーラーの冷え度合いがかなり落ちたと経験している筈です。

つまり冷却効率が落ちたのです。

よって自動車にしてもクーラーにしても設定された温度に達するため従来より多くのエネルギーを使う結果となり、この事で気温上昇のスパイラルが始まった可能性が有ります。

特に都会ではそうですよね、夜になっても気温が下がらずクーラーを使う、すると室外機から熱を発して周囲の家庭もクーラーを購入する。 更に室外機の発熱が増える…。

更に夜間は太陽光がゼロで必要な電気の発電には火力の比率が高く、結果CO2排出も多くなると言う悪循環です。

今では企業の努力で代替フロンでもかなり効率が上がっていると思いますが、あの頃同時にフロンガスの回収技術も向上したので、冷却触媒としてのフロンガスは温暖化と天秤にかける必要が有るのではないでしょうか?(エネルギー削減のため元の効率の良いフロンに戻しても良いのでは?)

とにかく問題解決には後からの検証が最重要です、当時の考えが正しかったとは限りません。

この事は正しい判断が出来るなら、日本が誇る富岳にでも検証して欲しい。


  • 大規模な火災が今一番危険な災害

前述のIPCC報告書で多くの地域で森林火災が増える箇所をアンダーラインしています。

特にこれからの4,5年で対策しなければならないのは大規模な山火事や森林火災です。

世界規模の火災は、一気に温暖化を進める危険性を秘めているからです。

7月18日 SDGsスペシャルとしてBS朝日が放送した、BBC作成のグレタさんの特集を見ました。

副題で気候変動の最前線をゆくとしていたからです。

この番組で気になったのは氷河の問題の一節です。

2019年 国連でスピーチした後、彼女は父親とカナダの氷河を見に行っていました。

この目的は、ここ数十年でかなり減少した氷河や永久凍土を実際に見て、地元の研究者の話を聞く事でした。

学者の説明でなるほどと思ったのは、氷河が減少した直接の原因は、温暖化よりも山火事であるとの研究結果です。

因果関係を纏めると、温暖化→森林の乾燥→山火事の発生→火事の灰が風で流れ氷河に付着する→付着した灰の黒色で日光の反射率が落ちる→氷河がとけやすくなる。

黒色が光を吸収しやすいのはご存じだと思いますが、通常の氷河の反射率が約30%なのに、灰が混ざったアサバスカ氷河は18%に落ちているとの研究でした。

因みに先日ちょうど国立環境研究所の調べとして、news everyが白と黒のポロシャツでは、僅か5分で20度の温度差が発生すると説明していました。(気温30度、風が殆ど無い条件)

世界規模の山火事や森林火災は、氷河や北極か南極に灰が付着して融解を進める事も問題ですが、火災のあとに炭で黒くなるので翌年、その翌年と、火災の跡の地表が熱を多く吸収すると言う問題があります。

特に火災の発端として森林の乾燥が発生した地域ですから、黒色のまま翌年強い太陽の日射を受けると、大規模なほど思わぬ上昇気流が発生する可能性が有ります。

つまり火災そのもののCO2発生も厄介ですが、太陽光の吸収と言う不確定要素が数年付きまとうと言う恐ろしさも考えなければなりません。


又、前半BBCのリンクを張り付けていますが、その動画でグリーンランドの氷河を撮影している箇所が有ります。

着目したのは氷解した箇所に藻が発生し、更に太陽光を吸収し易くなっているとの字幕説明。

藻の発生は海に近い氷河固有の問題かも知れませんが、ここまで進行するともう戻す事は無理でしょう。

一度山火事や森林火災が発生すれば、その土地ではしばらく火災が発生する程の植物が繁殖しないと思いますが、運悪く世界各地で火災が続いたのでこれからの4,5年は各国が協力し、全力で消火しなければ非常に危険と思います。

(ギリシャでは周囲20か国以上が消火を支援しているとの情報:めざましエイトより)

補足:国立環境研究所の実験では、黒の次に熱を吸収したのは緑でしたが、これはポロシャツの話であり、実際には葉っぱの反射や水分の保湿力等を考慮すると、雑草で良いので早期に植物が繁殖する事を願うばかりです。 恐らく風で葉っぱが揺れる事でも焼けた地表の黒と比較にならない程地表の温度上昇を抑えられると思います。


  • 近年発生した大規模な山火事と森林火災纏め

アマゾンの森林火災:2019年 東京都の9倍の面積が焼失(1月から8月までの焼失面積はブラジル国内だけで約4万3000平方キロメートルとの報道)

オーストラリアの大規模火事:2019年末から2020年 焼失面積約9万7000平方キロメートル

北米、カナダでの大規模な山火事:2020年9月 9月13日時点で2万平方キロメートル

又、日本では余り報道されなかったですが、この数年シベリアでも大規模な山火事があり、7月20日現在も熱波と1500平方キロの山火事が発生しているそうです。(BBCより)


今年の大規模火災はギリシャ、トルコ、アメリカのカリフォルニア州で、ギリシャでは未だ拡大しているようです。(8月11日時点)

先月のカリフォルニアの火災も鎮火したのかどうか、いずれにしても未だ正確な面積は出ていないと思いますが、史上2番目の損害額との事です。

8月14日:情報アップデート

ロシア極東シベリア地方で山火事が広がっている。今年に入り既に約16万平方キロを焼失し、過去最大規模となる可能性がある。(共同通信)

※7月20日のBBC情報は1500平方キロメートルなので、発生中の面積だったと思われる。

 尚、この数値はオーストラリアの火災よりシベリアの方が大規模と言う事になる。

10月3日:情報アップデート

BS朝日 地球クライシス2021より

・2019年から2020年のオーストラリア山火事は国土の3%が焼失

・今年7月 シベリアで最高気温33度を記録

9月26日 AFP通信

・米カリフォルニア州北部で7月に発生した山火事「ディキシー・ファイア(Dixie Fire)」による焼失面積は100万エーカー(約4000平方キロ)近くとなった


そもそも温暖化よりも、この次に危惧される食糧不足が危機的です。

もし全世界的な食糧不足が数年続けば、はたして世界では何が起こるでしょう・・・。

もっと一人ひとりが真剣に取り組むべきです。

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