前回はおもしの選定経緯と理由、災害時の目的等を掲載しましたが、今回は少し帆(シート)に関して投稿します。
この様な投稿は今までに無かった商品なので、画像やeoホームページの動画、はたまた購入頂いた方でも何故だろうと疑問に思われそうな内容を選定しています。
私が技術系の人間なので、専門雑誌などの開発秘話が結構好きである点も投稿の理由です。
テレビの特集とかでもそうですよね、経緯とか理由を知って納得すれば頭に残り、その製品の機能を十分使いこなせる事が実際にありますのでそういう狙いです。
まず、幅と言うかサイズに関してですが、元々シート幅450mmから販売を開始するつもりでした。
以前の投稿に記載していますが、室外機より少し内側に設定していれば、何かに干渉する心配も少ないだろうと考えていたのです。
それにこの商品の出発点と言うか、ベランダに対して斜めの風の場合、壁に当たり真横に流れる成分があるので、奥行き換算300mm程の長さでもある程度は効果が出せると考えていた点も有ります。(片側45度に開き、300mm×ルート2=424.2mm なので450mm)
裏を返せば当時正面寄りの風の日は、このような装置を特に置かなくても良いだろうと思っていました。
これらから当初は中型で出し入れの簡便性を優先し、後はユーザーの反応から小型や大型を検討しようと考えていました。
しかし過去2番目に暑かった2020年夏の猛暑と、ここで初めて詳細を書きますが、新型コロナウイルスへの対応も考え、逆風でもある程度は受けられるように大きくせねば…と今のサイズに変更したのです。
新型コロナウイルスは当初から換気が重要と言われていました。
そんな中、ビルや集合住宅のサイズでは無理でしょうけれど、一軒家ならベランダ窓から見ての逆風、具体的にはベランダが南向きなら北風でも家を回り込む風成分があるので、それも有る程度取り込んだ方がオールシーズンの換気に有効では?、と考えるようになりました。
令和2年の緊急事態宣言が出た時に、私自身も恐怖を抱いたし、いま何を行動した方が良いかと思案を巡らせたのです。
結論は、今より取り込む風量を増やす事とピークは冬場になるだろうから北風も視野に入れてサイズを見直す事でした。
それが実現出来れば社会に役立つ事になるでしょうし、採用者のリスクを下げる事になると判断しました。
実はeoホームページの動画3番目に北北西4mの状態を載せているのは、逆風の取り込みが達成出来た嬉しさで選定しています。
皆さんには変化の少ない面白くない画像ですが、逆風も取り込めるのは、なかなか凄い事だと思っています。
逆風が壁を回り込む現象は以前から別目的のテストでだいたいの風量を把握していました。
しかし風は壁に沿って直角に曲がる訳も無く、窓際までとなれば1.2m程距離が有るので当初無理では無いかと思いましたが、実際に実験すると現在のサイズで結構風を拾う事が判りました。
但し条件としては逆風の微風はさすがに無理で、おおよそ3m/S以上、且つ壁から1.2m付近なら逆風の回り込みが帆に当たる関係となります。
これもベランダが南向きの前提になりますが、逆風である北風は季節の変わり目に多く、吹く時は結構強いと言う特徴が有ります。
実際どうなるかと言えば、北風7m/S観測の日でも、帆の上に取り付けた風速計で3m/S台にとどまり、帆は外れない事が多いです。
まあ自然の風なので正確に北向きばかりではなく、時より西向きや東向きに強く吹くのでしょう、数日の中で2,3回は気が付けば帆が外れている場合も有ります。
特に雨が降る前は、気圧要因以外の風だと思いますが、気が付くと帆が外れている事があります。
因みに逆風の場合は家基準に考えると裏面で負圧気味となり、左右に向けた風速計が3m/Sでも通常の西風、又は東風の3m/Sまでとは行かず、取り込む風量が少ない傾向は有ります。
尚、都会の住宅はどうしても隣と近いので、逆風が壁を回り込む量自体が少ない等、色々な条件が変わりますから全てのユーザーで上手く取り込めるとは限りません。
しかし絶対とは言えませんが、強い逆風の場合はベランダに左右方向の風も流れ、どのような立地でも、多少は有効ではないかと考えています。
これこそ立地条件で異なりますが、強い北風が吹いた場合は最も流れやすい風の通り道に周りの空気を引っ張り、我が家の場合は西側が道路なので結構東からの外気の流れを取り込みます。
(この現象もビルやマンション等の集合住宅に置き換えた場合、建物自体が大きいと、中央付近では逆風時の効果が望めないと思います。 ご了承下さい。)
次に帆(シート)に撓みを持たせるかどうかも色々試案し、実験を行いました。
撓みを持たせると部屋の中央寄りに風が流れる思想の反面、磁石で突風を保護する前の旧装置では、段ボール時代も含め帆の部位が真っ直ぐだった事もあり、微風時は撓ませずに張っていた方が優位と感覚的に思っていました。
これは最適な磁石を見つけた事により、運用で微風時は張る事が出来て、風量が多い時は撓ませて部屋の中心部に送ると言う2つを実現出来ました。
具体例で説明すると、画像集の最後の1枚が帆を張った状態になります。
微風時は帆を少し引っ張りながらセンターのパイプの横面に吸着させる事で実現し、通常時は風を受け、いずれ最短距離の中央付近にずれるので、その状態で撓みが出せると言う使い方です。
帆を張る推奨日は、大まかに言えば等圧線が広い日となりますが、やはりtenki.jpなどで詳細な予報を見て決める事をお勧めします。
少し注意としては、1日の中で3m/S以上の予報が有るのに頻繁に帆を張ると、風の力で中央付近にずれるので、その時帆(シート)に摩擦を掛ける事になり帆(シート)の寿命を縮める結果となります。
ですので頻繁に帆を張り直す必要は有りませんから、明らかな微風の時の運用と考えて下さい。
次に撓みを持たせる目的は、極力部屋の中心寄りに風を向ける事です。
部屋に入った後の風向きはコントロール出来ませんので、取り込んだ時点で極力中央寄りに流す事が最適だと思っています。
暑い時には直接肌に風を当てた方が涼しいですし、奥行きが長い部屋では奥に行くほど風速が落ちるので、途中の壁や家具に当たったとしても角度を浅くする事が重要と考えています。
これは一般的なシュミレーションを見ると以前から違和感を持つのですが、風速が落ちて壁に当たるとその後渦を巻き、そこから先に進みにくくなっている筈です。
試験中の実感もそうですし、30分の1スケールの実験でも壁や障害物に当たると室内では渦を巻きます。
(この様な検証から『メリット』にLDKで換気を強化したい時は換気扇の併用をと促しています)
争う気は有りませんが、換気口一つでも壁に当たってそのまま風が進むシュミレーションは、室内に入ってからもある程度以上の風速が必要な筈で、ちょっと現実的でない情報が世の中に流れていると思います。
Windリーダーで撓みを通過したとしても、元々の風向きや風速によっては中央に流れない事も有りますが、撓みを付けた方が総合的に優位であると考えています。
補足すると、メリットの最後に載せている仕切り板は2m/S前後まで中央寄りにする効果が有ります。
3m/Sを超えると風に負けて外れる程度の問題なので、是非自作して下さい。
撓みにはもう一つ大きな理由があります。
帆に撓み量を持たせる事で、今風が吹いているのかどうか、そしてどの方向から吹いているのが目視で判る事です。
例えばまだ気温が低い時に換気をしたい場合、窓を閉めた状態で風が吹いているのかどうかが判った方が良いでしょうし、しばらく使えばどの程度の風なのかも撓み方で把握出来ると思います。
ですから常に窓を開ける季節では関係有りませんが、有効な風が有る時に素早く換気をしたいと言う季節で撓みがあれば優位と考えています。
最後は生地について、各種画像の通り帆(シート)は真っ白です。
これは生地の色そのままです。
元々色が選択出来ればベストだと思っていましたが、メーカーに確認したところ、別の色にする方法が印刷のみになるそうなので、コスト面、環境面から生地色のままでいいかと、ここは妥協しました。
現在の白色系も勿論候補だったのですが、印刷の場合は屋外に常設するので色落ちするのもどうかと思い、生地色のみとしています。
因みに生地自体はサンプルをテストしてまずは2種に絞り込み、そこから検証装置に実装して現在の選択をしています。
以前お世話になっている技術者から、外にこの装置を置けば室内が暗くならないかと聞かれた事が有りますが、白の生地なので太陽光が乱反射し、日が当たる時間帯は良い感じで明るいです。
注)これはベランダに直接太陽光が当たる立地条件の場合です。
良い感じを少し掘り下げると生地自体は有る程度の透過性が有り、日光の全てを反射する事も無く、屋外で帆は基本垂直でなので、南向きで直接太陽光が入るベランダを想定すると、朝と夕方は太陽から角度良く日光を受ける訳ですから部屋は無いよりも明るくなります。
乱反射も補足すると、和室の蛍光灯や行燈の一部に和紙を使っていますが、あのイメージに近いと考えて頂ければと思います。
それとコストは上がりましたが、汚れとか、酷い場合はカビも想定に入れなければと思い、撥水仕様を選択しています。
汚れに関しては、ほぼ1年屋外に常設して新品に比べれば少しくすむ程度。
カビに関しては撥水処理である事と、基本雨でなければ干しているのと同じなので、その兆候すら見られませんでした。
カビに関しては、冬場片付ける時もしっかり乾いている事を確認して頂ければ大丈夫かと思っています。
音に関しても記載すると、結構柔軟な生地なので磁石が正しく吸着していれば殆ど無音です。
稀に逆向きの風を受けるとパンと帆が張る音はしますが、気にならない程度だと思います。
但し強風保護で外れると、強風の間はバタバタ旗がなびく時の音が鳴ります。
この時は風の合間を見て応急的にQ&AのFig1状(2つに折る状態)にし、強風が続くなら少し巻いて大型の洗濯ばさみで押さえて下さい。
尚、7m/Sを超える予報の日はWindリーダーが無くても風は入りますので、強風になる前に予め室内へ取り込んで下さい。
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