※室温データーは、夏場最も厳しい南西の部屋で測定しています。
方位が異なる部屋では、概ね下記のデーターより温度上昇等が低いと判断して下さい。
今年のデーターは、異常気象の過渡期の情報として将来興味深い内容になるかも知れません。
北米やヨーロッパで観測史上最高の気温を記録した地域も有りましたが、日本では令和2年のように過去最高に暑かったとはならないと思います。
しかしオリンピック開催後、東から西へ移動した台風8号のように、今年は大きく表現すると風の流れが去年までの夏と違っていた認識です。
それと日本海の海水温が2度程高かった影響でしょうか、関西では北から南へ雨雲が流れる事も多く、雨で夕方からの換気冷却が十分出来なかった日も結構ありました。
全国で見れば地域によって二日間で平年の該当月の半分の雨量が降るなど、やはり雨が多い夏になりました。
(参考:太平洋側の海水は、7月下旬の大型台風6号の攪拌によって、しばらく平年より少し低い水温だったとの情報)
さて、今回は夏季の特長的な4パターンを掲載し、且つ将来的な視点として天井裏(正味の屋根裏)の温度も記録したので換気冷却の効果と合わせて公開します。
尚、温度測定した住宅は木造2階建て外断熱構造で、ベランダ(部屋)がGoogle Mapで見てもほぼ完全に南向きです。(多めに見ても傾きが3度以内)
よって日中の太陽の傾きがそのまま屋根に反映される立地なので、参考でソーラーパネルの発電グラフも添付します。
(屋根勾配26.56度:ソーラーは東向き8枚、南向き16枚で午前中の早い時間から発電する配置です)
- 3種の図の説明
それぞれの観測日に配置した図は上段が室温グラフ、中段がtenki.jpの画面コピー、下段がソーラーパネルの発電データー写真です。
<グラフの温度測定場所>
天井:荷物用に設けられた屋根裏の小部屋から、更に点検口を開けた天井の真上(裏)
2階:ベランダにWindリーダーを設置した2階の南向き西壁面の部屋
1階:上記2階の真下の部屋。日射の影響を受けないようシャッターは常時閉めた状態。
- 6月24日室温データー
まず雲で日射が遮られるとどの様に室温へ影響するのかを見てみましょう。
この日は5時半から朝の換気冷却をし、その後7時18分に窓を閉めて16時からWindリーダーによる換気冷却を開始しています。
又、屋根裏も同じ16時から扇風機による強制空冷を3時間行っています。
6月24日は厚い雲で日射が遮光された影響が顕著に見て取れるので選定しました。
tenki.jpの13時、14時が小雨となっており、この間通り雨で日射がかなり遮光され、14時に天井の温度が下がった記録になっています。
尚、屋根裏と言っても通気口があり、恐らくですが雨と言うより雨雲の前の強めの風によって13時から14時間に1.3度温度が低下したのかと思います。
これで夏至に近い高い日射量の日でも、雨が降るレベルの雲が通過すると2階、1階の室温上昇が抑えられる事が判ります。
尚、ソーラーパネルの画像の見方は緑が1時間の最大値でオレンジが実際の発電力量。
つまり緑とオレンジに差がある時間帯は直射日光も数分当り、厚い雲が日光を遮った時もある1時間を意味します。
つまり12時、13時は雨雲も通りながら雲から外れた時はかなりの日射が有った事を意味します。
6月24日の特筆は天井のデーターから、コスパの良い暑さ対策に記載した通り、夏の暑さは日射の影響が強大である事。
それと換気冷却をする16時まで2階の室温が上昇していますが、対策をすれば天井と比較して12時から14時までの数時間、かなり温度上昇を遅らせる事が出来る点です。
(勿論建屋自体の外断熱効果も上昇を遅らせる要素です)
- 6月30日室温データー
次は6月30日の晴れのち曇りのデーターです。
この日朝の換気冷却は5時半から7時13分です。
11時前後にきつい日射も有りましたが、午後からの予報が曇だったので13時20分から早めに換気冷却を開始したデーターになります。
本来なら屋根裏に蓄積した熱で17時頃までなだらかに室温上昇する筈ですが、Windリーダーによる換気で抑えられたと思います。
(天井『屋根裏』の17時の温度低下は16時から扇風機による強制空冷を3時間行っています)
晴れのち曇りで午後から日射が遮られる事例としてご確認下さい。
因みに2階の室温を数字で記載すると14時が30.4度、15時が30.2度で、16時がこの日最高の30.6度でした。
これは曇でも西日の影響があり、このように西向きの部屋では夕方頃が最高気温になります。
余談ですがtenki.jpで19時から雨マークが並んでいます。
この日以降、地域によっては災害が発生した7月初旬の長雨の直前のデーターになります。
- 7月12日室温データー
少しイレギュラーで、夏の上空に寒気が入ってきた日のデーターを掲載します。
少し例外として夏場急に気温が下がった7月12日の記録を掲載します。
この日は雨雲レーダーを確認し、13時から換気冷却を行っています。
(朝の換気冷却は5時半から7時12分)
尚、tenki.jpでは13時以降小雨となっていますが、計測地では殆ど雨は降らず、13時以降は窓を開けたままです。
ソーラーパネルの発電データーを見ても、10時以降は緑の最大値自体が低く、日射を遮るかなり厚い雲だった事がお判り頂けると思います。
本来7月12日なら猛暑日近くになっても不思議ではありませんが、前線の影響などで上空に寒気が入れば5度近く気温が下がる事例としてピックアップしています。
この日は風が弱くWindリーダーの効果はそれ程高くはないですが、tenki.jpの予報や雨雲レーダーの情報を上手く活用してクーラーの使用を抑えましょう。
尚、28度前後なら大手企業や役所で設定されている温度と同じなので、ちょっと暑く感じますが少しの風でも耐えられると思います。
又、自然の風量が少ない時はピンポイント的に扇風機を活用しましょう。
- 最後に風による換気の効果に記載した7月19日のデータです。
こちらではグラフに天井の温度も追加して解説します。
天井の温度も含むためグラフが上限50度となって見た目が変わりますが同じデータです。
この日はほぼ快晴が続いた猛暑日のデーターとしてピックアップしています。
下のソーラーパネルの発電量からお判り頂けるように、10時から少し薄い雲があり、11時から12時の間で少し厚い雲が通過したものの、それ以外は容赦のない日射が降り注いだデーターになります。
- 室温グラフの解説
本編にも記載した通り、前日から20cm程ベランダ窓を開け、Windリーダーの換気と言うより自然放熱で5時には27.8度になっています。
そこからWindリーダーが有効になるよう窓を8割開けて換気冷却を開始。
tenki.jpでは北北西の風の記録ですが、比較的西側の風が拾え、窓を閉めた6時19分、朝一番は外気温に近い天井とほぼ同じ温度に下がったのも特筆する点だと思います。
合わせて朝は、夜間換気をしていない1階の温度が既に28.1度と高温である事もお判り頂けると思います。
(2階もこの日、自然放熱も何もしなければおそらく1階以上に朝から高温だった筈です)
それとは別で、深夜帯でもクーラーが切れた時に2階が暑くなる要素が天井からか、別の部位からかを調査する実験のグラフでもあります。
尚、天井のグラフも18時から一気に下がっていますが、この低下は屋根裏の点検口から扇風機で2.5時間『強』で運転しただけです。
これは予想以上の温度低下で、日中に47度と相当上昇していた事も有りますが、扇風機でも簡単に屋根裏の温度は下がる事がお判り頂けると思います。
この実験で屋根裏(天井)は熱し易く冷め易い特性である事。
又、1階の朝の温度を加味すると、2階でかなり有効な換気冷却が出来ても外気温までには下がらない要因は、1階や壁の熱、特に西壁から熱が夜に上昇すると判断しています。
下の階の熱が上昇する事については、環境問題に熱心なフランスのAFP通信で夜の換気の重要性をアニメに纏めていますので、是非ご参照下さい。
アニメでは省エネの為夜は2階の窓を開け、煙突効果での排熱を促しています。
防犯を考えると夜は2階の窓から排熱するのがフランスでも一般的なのでしょう。
尚、17時を境に2階の室温が下がっていますが、これは帰宅した想定で締めていた窓を開け、Windリーダーで換気冷却を行った結果です。
いつもとは言いませんが、有効な風があれば2階の蓄積された熱の排熱は勿論、AFPのアニメの通り下の階の熱もゆっくりですが排熱出来ます。
西日の影響をまともに受ける2階の部屋では本来18時過ぎでも温度上昇しますが、この日はWindリーダーで結構有効な風を捉えたので18時から一気に2階の室温が下がった事をグラフからご確認頂けると思います。
補足:7月12日を除き、天井の夕方からの温度低下は、夜の天井熱の影響を抑える為、天井収納はしごと階段の窓を開け、点検口から扇風機で強制送風しています。
この検証の結果、日によりますが2階では21時以降は殆ど屋根裏の熱は影響せず、下の階と壁などのから上昇する熱エネルギーを受けると判断しています。
(日中は逆に、屋根裏の影響大)
近年の夏は異常気象と言えるほど日本でも暑くなっており、その熱を住宅から上手に排熱しないとクーラーで相当量の電気エネルギーを消費します。
つまり蓄積された熱を風の自然エネルギーで出来るだけ排熱するか、何もせずに暑いからといって最初からクーラーを入れるか、それぞれの考えで未来が少し変わるのではないでしょうか。
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